気持ちいい地元空間「魚まさ」

阿南駅から徒歩3分。阿南市街の中心地で本格的な海鮮が食べられると評判の店がある。
「大衆地魚　魚まさ」と書かれた暖簾をくぐると、目の前にはコの字型に並んだカウンター席と壁一面に貼られたポスター、ビールの入った冷蔵庫。店全体に漂う懐かしい雰囲気になんだかホッとさせられる。
店内のあちらこちらに置かれたホワイトボードには、手書きでぎっしりと書き込まれたメニューに「今が旬！」の文字が躍る。提供する料理は、店主の武田さん夫婦がその日仕入れた魚によって決め、メニューも毎日書き換えているそう。仕入先は地元の漁師や、県下でも有数の漁場を持つ漁師町「阿南市椿泊」の漁港だ。

“新鮮でおいしいものをできるだけ安く”を心掛けているという武田さん。料理の作り置きはせず、注文が入ってから調理をする。焼き物も天ぷらも、やはり作りたてが一番旨い！
「都会から来た人はみんな安さと美味しさにびっくりするよ。ウチは本当に新鮮なものしか出さない。たくさん食べてもらいたいから値段はできる限り安く抑えているんだよ。」
確かにメニュー表を見てまず驚くのが、その値段の安さと種類の多さだ。シマアジ、グレ、カツオ、地だこ、都会では高級魚として知られるハモもリーズナブルな価格で食べられる。
魚だけでなくビールも新鮮で安いのが自慢だそうだ。

メニューの種類も、海鮮料理はさることながら肉料理や麺・ご飯もの、サラダに至るまで多種多様だ。なぜこんなに多いのか尋ねると「お客さんの要望を聞いていたらいつの間にか増えてしまったよ」と笑いながら話す。店主夫婦の人柄の良さが現れているようだ。
武田さんに「おススメのメニューは？」と聞くと、「それ言われると困るんだよ、時期によって違うし、阿南市には美味しいものが本当に多いからね。」と笑う。「でも、やっぱり旬の刺身が一番だよ！」

阿南駅から近い立地のためか、客層は県外から出張などで来たサラリーマンが多い。初めは駅周辺の店を探してネットから訪れる人が多いが、一度料理を味わえばその美味しさにハマり、二度三度とリピート。阿南に来るたびに来店する人や、出張の期間中ほぼ毎日食べにやってくる人もいるそう。

9年前に夫婦で始めた「魚まさ」。当初はお客さんが1週間に2人だけ、なんてこともあったそうだが、これまで宣伝らしい宣伝はしてこなかったという。広告費に金をかけるよりも、お客さんに提供するより良い食材への投資。そんな店主のこだわりが伝わったのか、口コミやリピーターが増えていった。
「海鮮のお店は高そうで入りづらいって思うみたいだけど、絶対そんなことないから(笑)。気軽に入ってほしいです。」と奥さん。ちょっと寄って、新鮮なお魚とビールを軽く頼んで、楽しく会話できる店。ここでしか出会えない海の恵みを味わいに、一度立ち寄ってみてはいかがだろうか。